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メール・マガジン
FNサービス 問題解決おたすけマン」
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★第042号 ’00−04−28★
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新しい人
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●「おたすけマン」への相談ごと
の中で多いのは<上>の理不尽に関するもの、とは前に書きましたが、同僚や
部下についてのご相談も少なくはありません。 が、件数に歴然たる差がある
のは、相手が<上>じゃないのだから自分で何とか出来る、いや、しなくては
ならない、と抱え込む心理から生じる結果、、 かも。 とは言え、
それらも突き詰めれば、実は<上>の問題の延長であったりします。 まあ、
そうであったとしても<上>に戻すわけには行かないし、たとえそうしても、
<上>が解決できるとは限らない。 むしろ「こんなこと、出来ないのか?」、
評価を下げられる恐れもある。 結局、自分で処理するほか無い。 しかし、
発生件数はそちらの問題の方が<上>より多いし、その様相も一概ではない。
<上>の具合悪さはどこでも似たり寄ったりでしょうが、<そちらの方>は
多種多様。 管理職さん、まことにご苦労様です。
その困難を克服するのがマネジメント。 誰にでも出来るとか頼めるという
ものではない。 なら、ずいぶん管理職を大切にしてくれなくちゃオカシイ、、
のに今どきは逆なのだから、いよいよオカシイ。 まことに嘆かわしい風潮。
*
これは中途採用されたX君についての相談でしたが、ま、典型的<お荷物>。
「スキルが不十分。 アイデアが勝負の職種なのに、発想力が無い。 周囲
とのコミュニケーションを図る努力が乏しく、当然、何を任せても成果なし。
人間としてマナーが良くない上、協調性も向上心も欠如。 だいたい自分の
ダメさ加減を自覚していない。 注意すると、すぐキレてわめく。 面倒を
見ようにも受け付けない。 衆目一致の結論:全然使い物にならない!」
そのX君に何故か、このたびの考課ではAランクの査定が下された、という
大ミステリーが発生。 一同、もうヤッテランナイヨ、の雰囲気。
* *
誰が採用を決めたのかね? ネコの手も借りたい忙しさではあるけれど、
あいつはネコ以下。 邪魔どころか、まわりがみんなヤル気をなくして
しまうぜ、、、
みんな一様に憤慨してはいるが、その持って行き場が無い。
周囲のストレス、お察ししますが、比較的小規模の企業ではよくあること。
しかもそういう会社に限って、「以和為貴」とか「仲よきことは美しき哉」
の額が掛けられていたりするのだから、ついホホエマされてしまいます。
トップなりの<急激な経営環境変化への対応>努力らしく、<新しい人>を
見つけては呼び込む。 X君もその一人だったが、在来メンバーから見れば、
「アイツのどこがお気に召したのかな?」、「ヘンなのばかり入れるね」、
「新しいうちだけさ、チヤホヤするのは」、「あれもいつまで続くやら?」。
<上>は「チームワーク!」を強調しますが、多く現実はこんな具合ですな。
* * *
ワッショワッショの高度成長時代には、「設備投資は経営者の意思表示」と
言われました。 語られるビジョンは割引して聞かなくてはならないことが
多いけれど、設備という<形>でなら疑問の余地が無い、と。 そこに、
情報化時代となってコンピュータ投資が加わりました。 一般の企業では、
これは直接的に付加価値を生み出す設備ではない。 当初は単に流行を追う
かのごとき風情。 その段階では、社内の人材でも何とかなりましたが、、、
知識産業化、ソフトやネットの時代となっては専門職に依存せざるを得ない。
ついに<人材投資で意思表示>するようになりました。 その必要を満たす
生え抜きがいてくれれば理想的、だが在来社員は本業要員。 ソフト系人材
育成の仕組みも無いし、追い付かない。 とにかく手に入れねば、の即戦力
中途採用ですから、<肌合いの違う人々>が入って来るのは当然でしょう。
固定人件費圧縮のため、派遣社員導入も盛んです。 職場の<他人同士度>
はさらに高まる。 在来と外来、アナログとデジタル、ハードとソフト、、、
これで<文化摩擦>が全く生じなかったら、その方が不思議でしょうね。
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●人のありようを単に
善し悪しで分けたりはしませんが、<異なる行動ぶり>の一方を<善し>
とすれば、他方は<善し>ではあり得なくなる。 つまり<かけ離れ>て
いるわけ。 職場規律上、「どちらでも良い」とすることは出来ません。
先任者は無意識的に優先権を主張しがちなものだが、相手にも理屈はある。
双方譲らなければ話は進まない、悪くするとこじれます。 ねじ伏せれば
その場は通せる。 が、シコリは残るぜ。 さて、どう調整したものか?
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そんな時に役立つ知恵は無いか、となればお奨めは「ハーバード流交渉術」。
TBSブリタニカ1982年のハードカバー。 ハーバード大学交渉術研究所の
所長ロジャー・フィッシャーと副所長ウィリアム・ユーリーの共著です。
原題
Getting to YES、<続>以下もありますが、正統派はやはり1冊目。
人が出会えば、そこに必ずやり取りが生じる。 自説を通したいのは誰しも、
それぞれの立場の正当性を言い募ります。 が結局、状況を判断して多少の
譲歩を提供しあい、ともかくも妥結、、、 となれば良いのでしょうが、
メンツや意志の衝突から、後には引けなくなる。 そんな場合に限って、
そのやり取りに加わるメンバーが増えたりします。 と、<立場>の数も
増え、ますますこじれて行く、、、 という具合、
関係を悪くする要素はあれども、良くする要素は容易に見つからないもの。
で、著者二人が提案するのは「原則立脚型交渉」。 「ほとんどいかなる
状況の下でも用いることのできる交渉の正攻法」だ、と。 (p.16)
* *
そのコツは、(本の記述通りではありませんが)
1)<人間>が向かい合うのでなく、<問題>へ顔を向けることにすれば、
「一緒にそれを攻める」形になる。 <問題>をハッキリさせること。
2)<立場>にとらわれると、本来の目的<利害>から目がそれてしまう。
<立場>で妥協を図ると、どちらのニーズも満たされずに終わる。
従って、「どんな利害を調整すべきか」をハッキリさせること。
3)前項の達成を可能とする方法は、一つと限らない。 視野を広く持ち、
色々な案を立ててみる必要がある。 合意達成のみを急がないこと。
4)大きな声や強い主張が勝てば、誰かには不本意な結論がもたらされる。
客観的で公平な基準を設け、それを満たす案を良しとする。 議論は
その<基準>についての議論、とすること。
の4項目。
これらすべて、表現は異なるけれども
Rational Process に織り込まれています。 即ち、
1)は、たとえば<ステートメント>の工夫。
2)は、決定分析で言う
MUST、WANT についての議論。3)は同じく、選択肢の構築作業。
4)はそれらのトータル、あるいは
MUST および重要な WANT の議論。
ほら、ね。 うん、それでイケるな、と思われるでしょう。 さらに、
* * *
Rational Process では、1)に至る<前>についても考えるはずです。
たとえばX君と話し合うにも、その<前>に状況を整理しておこう、と。
単に「スキル不十分」でなく、どの場面でどんなスキルが不足だったか
を明確にします。 いくつもあったのでしょうが、すべて個別に。
その一つが(たとえば)「NTマシンのLinux化」に関わるスキル、しかも
X君を当てるほか無い、とすれば取りあえず、即席育成か協力支援だろう。
どちらにせよ、ステートメントは「(それを達成する)方策の選定」。
その他の(不足な)スキルについても同様。 ベテランのカンを働かせ、
補強の必要の順序を定め、One by one で。 一挙に、など焦らず。
何が具合悪いのか、事実を確認する作業が<前>に行なわれれば、あとは
その解消策に意識を集中すれば良いだけのこと、頭がスッキリします。
「発想力が無い」にも、そう感じさせられる小事件がいくつかあったはず。
なら、それら事件の原因を究明しよう、とすべきかも。 その分析の結果、
実は発想力が無いのではなく、他の仕事が一杯あって、彼の力がその方面
に用いられていなかっただけ、と判明するかも知れません。 それなら、
次のステートメントは「X君、担当業務調整案の選定」、、でしょうね。
* * * *
短期間に色々なトラブルが起き、主人公は常に<新しい人>。 そのX君
は、歓迎しかねるコネ入社、、 何故あんなのを? で心は安らかでない。
その心で彼を見れば、自覚が無い、使い物にならない、、マイナスばかり
目に付きます。 が、One by one 、個別に具体的事実を調べて行くと、、、
おや、X君一人のせいではなかった、と見えて来ることもあるのです。
目に見えるトラブルなら誰でも気付く。 が、見えていなかったトラブル
を浮かび上がらせ、関係者に認識させる、なんてことは誰にも出来ること
ではありません。 管理職は是非、その<気付かせる人>でなくては。
X君の<現実>が周囲の期待に反するものであったことは事実。 でも、
どう<あるべき>であったのか、彼が明確に指示されていたのかどうか?
その点を改めるべく、「このようにしよう」と持ちかけることにすれば、
目標管理の個別指導も同然、感情的になる必要など全く無い、、でしょ?
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●相手の立場で考えよう、
と言うは易し。 誰かと向かい合った時、そんな余裕は無い、のが普通
でしょうね。 本に出ている例では、たとえば<家主>と<借り手>、
肝心の<家賃>について、
家主は「長いこと家賃を上げていない」。 好意を提供しているつもり。
しかし借り手は「家賃はすでに高すぎる」と思っている。 すれ違い!
<付き合い方>について、
家主は年輩者らしい気遣いで、「プライバシーには首を突っ込まない」。
それを借り手は、「挨拶もしない。冷たい」と見る。 不幸な関係!
これが<その立場>での認識なら、向かい合うや否や火花が散って当然。
職場でも似たようなことが、、と容易に想像されるのではありませんか。
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だから、顔と顔の向かい合わせ、即ち人格の対立、になることを避ける
必要がある。 そのために、<あなた>でも<私>でもない、<客観的
基準>なる<客体>を間に置くべし、というのが著者たちのアドバイス。
もちろん<基準>の作り方や中身などを論じる際にも、対立が生じない
とは限らない。 それを避けるには、双方肩を並べて見ることの出来る
<形>があった方が宜しい。
たとえば、ほら、<分析シート>!
なら、<作り方>はOK。 それも「相手さんが合意して下されば、」
ですが、
Rational Process には長い歴史とグローバルな実績がある。心配ご無用、自信をもって「これで行きましょう!」と提案して下さい。
ただし<中身>は皆さん次第。 必要なら「おたすけマン」、手伝います。
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これは実に良い本ですが、<原則立脚型交渉>の有利性を説くことを主と
しており、<原則>自体の作り方についての記述は必ずしも十分でない、
と私は思いました。
すでにお読みになり、そのように感じられた方においては、その点を我が
Rational Process の援用で補われるのはいかが、とお奨めする次第です。
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それだけで用いても有効な
Rational Process ですが、他の技法と併せ用いれば相乗作用が生じ、また理解も深まり、より効果的であろうことは
請け合います。 技法の活用は、そのような見方でどうぞ。
■竹島元一■
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